悲劇的なデザイン、という本をいま読んでいます。
新しい気づきをもたらしてくれる本というよりは、改めてデザインの重要性を確認できる本。
作り手目線でデザインをしてしまうと、ユーザーへの配慮が足りないものが出来上がるよね。
ということが、実例を紹介しながら書かれています。
ひどいデザインのプロダクトは、クリエイター(あるいはスポンサー)が第一で、ユーザーは二の次である
出典:悲劇的なデザイン(P.24)
これはデザイナーだけでなく、ブログやホームページを運営しているひとへのメッセージでもあるんですよね。
WordPressを使えば簡単にサイトの立ち上げは出来てしまうし、最近のテーマはカスタマイズ機能も充実しています。
なのでブログやホームページの立ち上げを自分でやる人は増えていますが、カスタマイズが楽しくなってやり過ぎているのとか、ただの自己満サイトとかよく見かけます。
ユーザーの目線の動きや行動心理など理解して作っていますか?
例えば、ナビゲーションメニュー。
サイト内の移動をスムーズにするために欠かせないパーツ&重要な機能ですが、表記ひとつでクリック率は変わるし、並び順も大事。
でも軽視してる人、意外と多いんですよね。
Webサイトではないですが、この間Twitterのタイムラインで流れて来た銀座ロフトのフロア案内板なんかはナビゲーション失敗の典型例。
カタカナと英語表記の案内版が分かりづらいと批判され、黄色のテープを後から貼って対応した写真です 笑。
デザインの敗北? ロフトのイケてる案内板、なぜかテープで補足説明
「イケてる」「スタイリッシュ」が邪魔をする
フロア案内版の役割は文字通り「目的の商品が置いてあるフロアに案内すること」です。何より求められるのは分かりやすさであり、一瞬で伝えるデザイン。
でもこの銀座ロフトの例は、その分かりやすさを排除してしまっています。
「ネクストクリエーション」にいたっては、もはや商品カテゴリーのイメージすらしがたいですよね 苦笑。
耳慣れない英語は、頭で認識をして、日本語に変換して、理解する。という手順を踏まないといけないので、一瞬で伝えるとは程遠い。ストレス以外の何物でもありません。
それにロフトの場合は、他の店舗での案内に慣れているひともいるでしょう。ロフトの商品カテゴリーや表記が無意識化にインプットされているのに、全然違う表記だと混乱してしまいます。
上記の紹介記事では
・メインターゲットである20代後半から30代女性に響く
・次世代のロフトを発信
というターゲット&コンセプトから案内版を設置したものの、年末年始に大人の男性・女性(分かりやすくいうと年配のひと)が多く来店されたため応急的に追加で黄色いテープを貼ったと書かれていますが、年配の方でなくても分かりづらいのでは、、、、と思ってしまいます。
そのデザインは「伝える」機能を果たしているか
ナビゲーションメニューを英語にしているサイトを見かけますが、アーティストでもクリエイターでもない、ただのブロガーさんにはおすすめしません。集客ブログを運営している人にも。
横文字かっこいい精神まる出しで、逆にダサいので。昔モテた自慢とか、武勇伝を語る過去の話しかしない男性と同じくらいダサいです。
見せ方はブランディングにも関わってくるので、一概に悪いとは言わないですが、「わざわざ伝わりづらい表現にする必要ある?」は考えた方がいいですね。
伝わりづらさと引き換えに、ブランド力を強化できるならありですが、ユーザーに小さなストレスを毎回与えていることに変わりはないので。
特にナビゲーションメニューは「ユーザーをナビゲート(道案内)する」のが役割です。役割にあった最適なデザインが、ユーザーフレンドリーなサイト作りにつながります。
いいデザインはわかりやすく、楽しく、そして便利だ。逆に言えば、ひどいデザインは、人の行動を邪魔したり、行動にうまく馴染まなかったりするものが多い。
出典:悲劇的なデザイン(P.19)
ユーザーはいちいち、「このブログ、ここがストレスなんだよ!」と教えてはくれません。コンテンツのクオリティーを高めることばかりに目が行きがちですが、ユーザー中心のデザインもお忘れなく。